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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 7-11
――おまえが、俺になにかするわけないだろ。
そう言えば、それ以上はないと知って、そう笑ったことがある。三年前の話だ。その前からも予兆はあった。けれど、自分たちのなにかが変わったのは、そこからだ。
なにかを諦められたのだ、知っている。
自分になにかを期待することを、だったのだろうか。話せばわかり合えるかもしれないということ、だろうか。わからなかったけれど。
「俺が口出せるようなことでもない、か」
もう何度も。言い聞かせるように繰り返していたことをぽつりとひとりごちる。口を出す筋合いのないことだし、そもそもとして、いっそ見放してくれたらいいとも幾度も思っていたはずだった。
そのほうが、楽になると思っていたから。
またひとりに戻った生徒会で書類を片付けながら、成瀬はそっと溜息をこぼした。
放っておいてくれたらいい。余計な手も口も出さずに、気にしないでいてくれたらいい。
そう思っていたことは何度でもある。本当だ。けれど、なにも言うな、と拒絶されたのは、たぶんはじめてだった。
望んでいたはずのことなのに、思いのほか自分がダメージを受けていることに気がついて、自嘲するように成瀬は笑った。
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