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パーフェクト・ワールド・エンド1-9

 初めて姿を見たときから、特別だと分かった。自分にとっての、特別ではない。世界にとっての特別。世界から特別に愛された、アルファの中の最上。  一族の誰もが自分に望んで、期待し、けれど、実現しなかったもの。成瀬の父と母は従兄妹だ。アルファを多く輩出する名門の成瀬一族の、その中で当時、一番優良だったアルファ同士が婚姻関係を結んだのは、更なる優秀なアルファの種を望んでのことだった。  まさか、オメガが生まれるなんて夢にも思わなかったことだろう。父と母は成瀬の性を一族に対してもひた隠していたが、果たして真実、どう思われているのかは分からない。何故なら、もうずっと会っていないからだ、父と母。そして唯一、成瀬の性のことを知る母方の祖母以外とは。  ――そう言う存在なのだ、オメガは。  どれだけ平等だと声高に叫ばれるようになっても、恥じるべき存在なのだ。  正しくそう理解して、だからこそ、と生きてきた。アルファとして、表面を保てば、外向けには生きていける。  そうして必死に創り上げた自分を、あの男は、感情のない醒めた瞳で見下ろしていた。  あいつのどこがアルファなのだ、と。直接言われたわけではなかったが、何度も視線で刺された。嫌いだった。妬ましかった。そのはずだったのに、ある日、結んだ約束があった。

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