262 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンド2-3

「っ、おまえに、何が分かる!」 「何がって……」 「あの人は……、おまえとは、違う」 「違うって、そりゃ、違うだろ」  自分が成瀬を非難したように思えたのか。それとも、もしかすると、自分が知らない間に、成瀬本人からつがいにはできないと告げられていたのか。純粋に、まだ情緒が荒れているのか。今度こそ溜息を吐きたい気分で皓太は懐柔にかかった。なんで、朝っぱらからこんなことで揉めなきゃならないんだ。 「気に障ったなら謝るけど。とにかく、おまえが、これからもこの部屋にいるって決めたなら、柏木さんが言った条件は守れよな。寮生委員会の総意」  榛名が懐いている茅野も、荻原も、全員が、だ。権力を振りかざすようで、心が痛んだが、仕方がない。  ――そうだ、仕方がないことだ。  そして、榛名にとっての最善だろうと、考えた結果だ。それなのに、そんなに不満かよ。 「表面上だけで良いって話なんだから、何の問題もないだろ?」 「……おまえは」 「なんだよ、俺?」 「それで良いのかよ」  ひた、と見つめてくる瞳の意志の強さに、呆れるような感心するような複雑な心境のまま、皓太は頷いた。

ともだちにシェアしよう!