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パーフェクト・ワールド・エンド2-4
「良いって最初に言ったのは、俺」
茅野に提案されなくても、もしかしたら自分が言っていたかもしれない。初めて、アルファで良かったと思った。榛名の平穏を守るための壁になれたのは、自分がアルファだからだ。
「だから、それはどうでも良いんだよ」
心の底から、思っている。それで自分には何の問題もない。
「まぁ、だから、俺がこう言ってるんだからさ。あとは、おまえももっと肩の力を抜いて俺を利用してやるくらいの気持ちで良いんじゃない?」
真面目なところは長所だとは思うが、ここまで来れば、最早、短所だ。……いや、さすがに短所とまでは言わないが、生き辛いだろうことに疑いの余地はない。
何かを言いかけるように榛名の口が開いて、けれど、結局、言葉を発することなく引き結ばれた。ふい、と視線が逸れる。
――どこの子どもだよ、本当に。
怒っている。あるいは良いように解釈するのならば、甘えられる相手だから拗ねている。どちらにしても、自分の前と成瀬の前とで態度が違い過ぎないか。
ここ最近、やたらと自分自身が幼馴染みとの扱いを比較して卑屈になっている自覚はあるのだが、その元凶が目の前にいるのだから、減速する気配もない。
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