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パーフェクト・ワールド・エンド2-5

 ――と言うか、俺と祥くんの何がそんなに違うって言うんだよ。あの人だって、性欲もなにもありませんみたいな顔してるだけでアルファだっての。  あれだけ嫌だったはずの「おまえたちは似ている」とする数多の台詞が脳裏を過る。  ――まぁ、榛名に言われたことはないけど。  そして、向原に言われたこともない。結局、そう言うことなのかと思わなくもないけれど。近くで見ている人間からすれば、似てはいないのだ。表面上の何かが似ていたとしても、それだけで、本質的には全く違う。  ――そう、ありたかったはずなんだけどな。  今度こそ、隠し切れなかった溜息が漏れた。誤魔化す気も起きないまま、皓太は自身の鞄を手に取った。 「そろそろ出ないと遅れる」  その一言に、特に言い返すこともなく、黙ったまま榛名が付いてくる。らしくない、と思った。自分にしても、榛名にしても。  それも、あんなことがあった今としては、当然なのかもしれないけれど。  ただ。  今まで通りでいたいはずだ、と思った自分の考えは間違っていないはずだ。読み間違えていない確信もある。  だから、それで良い。それが良い。半ば言い聞かせるようにして、榛名のクラスの戸を引く。案の定、中にいた人間の視線が、自分とその背後とに集中する。  

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