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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ Φ-7
「ハルちゃんが心配するようなことじゃないよ」
「……そうですか」
「うん。でも、ありがとう。ハルちゃんこそ、最近クラスのほうは大丈夫? 本当だったら、選挙って言っても一年生には関係ないはずなんだけど、今回は、ハルちゃんのところからも出てるから。いろいろ言われたりしてない?」
流れるように切り替わった話題に、寂しそうな表情を覗かせてから、得心したふうに水城は頷いた。
「あぁ、高藤くんですよね。でも、僕、高藤くんのことは応援してるんです。同じ一年生だし、クラスメイトだし、すごいなぁって思ってて」
いかにも無邪気に手放しに褒めてみせたあとで、でも、と視線を落として呟く。
「高藤くんは、僕のこと、好きじゃないでしょうけど」
「ハルちゃん」
「いいんです。僕、こんなだから、昔から嫌われることも多くて。先輩みたいに、僕のことを心配してかわいがってくれてる人がいるって知ってるから、大丈夫っていうだけなんですけど」
ぎゅっと手すりに触れていた指先に力を込める。横顔に注がれる視線を意識して、水城はもう少し深くうつむいた。
「ハルちゃん」
気遣いに満ちた呼びかけに、儚げな笑みを湛えて、視線を向ける。アルファという生き物は、どうしてこうも操りやすいのだろう。
まぁ、どうせ、自分より格下である「オメガ」になにかされるわけがないと高を括っているのだろうけれど。そうして、自分をいつだって与える側で、奪う側だと信じ込んでいる。
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