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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 8-2
言葉を選んでいるふうなわりに、まったく選びきれていないそれに、行人は眉間に皺を刻んだ。なんだ、それ。
たしかに、成瀬に提案されなければ、自分が生徒会に、なんてことは考えなかったとは思う。けれど、それは、恐れ多いとまでは言わないにしても、場違いなところだとわかっているから、思いつきもしなかったというだけのことだ。
――だけど、それだって、言われたから、ほいほい引き受けようとしてたわけじゃないし。
いちいち言われたなくとも、そんなふうに目立つところに好き好んで立ちたい性格はしていないのだ。阿るように「役不足ではない」とも高藤は言っていたけれど、自分よりもっと相応しい人間がいるだろうことはきちんと承知している。それでも引き受けようと決めたのは――。
――ちょっとでも助けになったらって、そう思ってたんだけど。
こちらが怒り出さないか気を揉んでいるとしか思えない曖昧な微笑から、行人はふいと視線を外した。
もしかしなくても、一緒にやる云々の話を、またしてもなかったことにされているし、成瀬から言われたというだけで自分が乗り気になった、と。この男は本気で思っているらしい。
「あの、榛名?」
その呼びかけもまた完璧に機嫌を窺っている調子でしかないものだったわけだが、実際問題、拗ねていた行人は、あからさまに視線を外したまま、「べつに」とだけ応じた。
まったく「べつに」ではないということも重々に承知していたが、機嫌の良い声を出してやる余裕も、自分はこう思っているのだと本音を優しく聞かせてやる度量も、持ち合わせてはいなかったので。
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