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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 8-3
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「あいつのそういうところが、本気でムカつく」
というわけで、その翌日の放課後。行人は教室でぶつぶつと四谷に愚痴を吐き出していた。
心境としては、本当になんなんだとの一言に尽きる。
あのあとも、「あ、これ以上、言ったらまずいな」と至極冷静に判断したらしい高藤は、行人にいっさい触れてこなくて、こうなってくると、その気遣いもいちいち癪に障るのだ。
「いや、まぁ、そういうやつだってわかってるけど。でも、その、なんというか」
「べつにいいけど。榛名もよくそういうこと俺の前で言うようになったよねぇ」
自販機で買ってきたジュースを飲みながら、呆れ顔で四谷が言う。
「気遣われるよりぜんぜんいいから、本当いいんだけど。榛名ってそんなに切り替え良かったかなって逆にびっくり。――ねぇ、待って。ちょっと、榛名」
「ん?」
「まさか、俺の話、高藤にして、助言貰ったからこの態度とか言わないよね?」
「え?」
予想外の疑惑に、言ってない、言ってない、と慌てて行人は首を横に振った。その程度の分別はあるつもりだ。
……いや、まぁ、誰にも言ってないとは言わない、けど。
「本当? ならいいけど。荻原とかにも言わないでよ。心配されたらそれこそムカつくから」
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