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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 9ー3

「行人が過度に緊張しない相手ってなると、二年の子たちより篠原のほうがいいかなと思って。あいつ、面倒見良いし、気配りもきくし」 「……まぁ」 「気配りがきくっていう意味では、向原でもべつによかったんだけど。行人が怖がるかなと思って」 「今の向原さんとふたりにされて、怖くない一年いないでしょ……」 「そうかな。水城くんとか喜びそうだけど」  冗談になっていないという無言の抗議はそのままに、視線を手元に戻す。もともと、そこまで冗談のつもりもない。  引き継ぐものがまだ残っているなと残り一月の算段をつけつつ整理していると、あのさ、と皓太がまた話しかけてきた。 「なんか、最近、自分でもすごい疑り深いっていうか、面倒な考え方してる自覚はあるんだけど」 「ん? うん」 「成瀬さん、榛名が入ってきたら、俺にまとわりつかれなくなって動きやすいとか思ってない?」 「思ってない、思ってない」  疑り深いというより、自分に対する信用度の低下のような気もするが。苦笑まじりにそう否定する。 「それより、皓太、行人の話ちゃんと聞いてやらなかったろ。怒ってたぞ。まぁ、かわいかったけど」 「……」 「さっきも言ったけど。皓太が心配してることも本人なりにいろいろと考えた上で、力になりたいって思ってくれてるわけだから。すごくありがたいことだと思うけど」

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