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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 9ー4
それは、まぁ、わかってるけど、と言わんばかりの沈黙に、成瀬もまた小さく笑った。
信頼できる仲間をつくるべきとした助言も忘れているわけではないのだろうが。
――小さいときに構いすぎた弊害だな、本当に。
「わかってると思うけど、いつまでもこの体制なわけじゃないしね。それとも、卒業するまで特別顧問みたいな顔して居座ろうか? 俺が」
「やめて」
本気で嫌そうに拒絶を示した皓太が、そこでひとつ溜息を吐いた。
「なんか、成瀬さんは、本当に成瀬さんだね」
「なにが?」
嫌味半分といったふうなそれに、笑ってそう返す。流れた沈黙はそう長くなかった。
「いや、まぁ、よかったなって」
呆れたふうでもあったけれど、安堵の混ざった声。
「とくに、なにも変わりないみたいで。安心した」
その言葉に、そう、と成瀬は笑って頷いた。
「よかった」
自分のことを昔から知っている、聡い幼馴染みの目にそう映っているのなら。本当に良かった。
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