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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 9ー9
「あいつといると、きつい」
どう取り繕っても、結局は、そうだった。あの気配は、きつい。必要以上に乱されるのは、あいつに関わることばかりだ。
――まぁ、もう、関わってくることもないかもしれないけど。
なにせ、あれだけ明確に拒絶されたあとだ。これも昔からではあるけれど、向原は一度決めたことをそう簡単には覆さない。
興味のない人間には関わらないし、自分が会う気がなければ姿も見せない。この数日、目が合うタイミングすらないことが良い例だ。
余計なことを言った、と。自分自身に呆れながら、成瀬は小さく溜息を吐いた。
向原がどう捉えているのかは、わからない。けれど、喧嘩のようなものをしたことは今までにも幾度でもある。
もう六年近く一緒にいるのだ。同じ空間で過ごした時間も長い。そういった環境であれば、価値観の違いで諍いが起きたとしても、なんら不思議ではないとも思う。
折り合ったこともあれば、折り合わないままなし崩しになかったことになったこともいくつもあった。今ほどではないにしても、冷戦状態が続いたことももちろんある。
――でも、怯んだことって、たぶんなかったんだよな。
それなのに、どうしてあんな反応をしてしまったのか。自分でもよくわからない。
――なんか、最近、こんなことばっかりだな。
わからないという逃げ言葉で思考が停止していると評されても、反論できそうになかった。
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