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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 10ー1
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篠原について委員会回りを終えたところで、行人はほっと息を吐いた。
生徒会の手伝いをするようになって、数日。覚えることがたくさんあって常に気を張っているけれど、外に出る仕事は内でやるものより圧倒的に緊張してしまう。
自分がなにか間違えば、「生徒会の間違い」になってしまうという緊張も大きいし、それでなくても、コミュニケーション能力が低いので、「適度に世間話をしながら事務連絡も行う」ことのハードルがとんでもなく高いのだ。
――なんか、そう思うと、篠原先輩が、こういう外回りしてるの、すごい合理的なんだろうな。
誰とでも難なく友好的に交流していた先輩の姿を思い出して、行人はしみじみと納得していた。
見たことがないので、実際どうなのかは知らないけれど、向原だったら、こうも和やかな巡回にはなっていない気がする。
――でも、本当、ちゃんと、顔と名前一致させないと駄目だな、俺。
今まで「他人に興味はありません」という態度を貫いてきたせいであはあるのだが、行人は、各種委員会に属している上級生の名前を壊滅的に把握していなかったのだ。
どうにか張り付けた愛想笑いでやり過ごし、必死で教えられた名前をインプットし続けたものの、向こうが自分の名前を認知してくれていたりすると、とんでもない気まずさがある。呆れ顔の篠原に――廊下でこそりと、にはしてくれたけれど――、せめて委員長の顔と名前は合致させておいてやれよと言われても、恐縮するほかない。
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