903 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 10ー5

「仮に新体制で皓太がトップに立ったとして。刷新するって言われたら、ふつうに辞めさせられるぞ」  なし崩しにそのままは無理だともはっきり断じられて、ですよね、と同じ相槌を繰り返す。浅い考えを見透かされている事実が、どこまでも居た堪れない。  高藤の「好きにしたら?」も、どうせ新体制が始まるまでのあいだなのだからの意が大半だったとしたら、と勘繰れば勘繰るほど余計に。  ――いや、でも、案外、最低限役には立つんだってことを、この一ヶ月で見せれば、もしかしたら、……うん。 「がんばります」 「違う、違う、違う」  ひっそりと、だが、本気で決意して宣言をしたつもりだったのに、思いきりよく否定されてしまった。 「あのな。行動で示すことも、べつに悪くはないけど、めちゃくちゃ良くもないからな? 口で言え、口で。なんのために付いてたんだ。ちゃんと話し合えって言っただろうが」  ぐうの音も出ないって、こういうことを言うんだろうな。落ち込みながらも、はい、と頷く。  これも、今まで逃げていた弊害なのだとわかっているけれど、腹を割って話し合うという行為が、行人は苦手だ。少しずつできるようになっていっているという自負はあるけれど。

ともだちにシェアしよう!