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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 10ー11

 同じ性を持つ者として、水城の行動は理解しがたくて、でも、同時に気にかかってもいたからだ。一種の仲間意識というやつなのだろうか。  高藤は、変なところで人が良い、みたいな顔をしていたけれど。 「だから、危ないってことだよ。実際、ちょっと危ない目に遭いかけたこともあるらしいよ。……ま、今までの思わせぶりな言動を思えば、自業自得っていう感じもしなくはないけど」  言葉も表情も選べなくて、曖昧に頷く。四谷も、それ以上批判を含まらせることはなかった。だから、とあくまで忠告の調子でこう続ける。 「そういう状況らしいからさ。前とは違う意味で近づかないほうがいいよ。うっかり巻き込まれたりなんて、したくないでしょ?」 「……まぁ、それは」 「でしょ。それだけ。余計なお節介かもだけど、なんか、ほら、前も一回ばったり会ったとき、水城、やたら榛名に愛想良くしてたから。ちょっと気になって。なに言われても、というか、困ってるって泣きつかれても、絶対、甘い顔しないほうがいいよ」  うん、と頷いたところでチャイムが鳴った。じゃあね、と軽く手を振って四谷が自分の席に戻って行く。  義務的に教科書を取り出しながら、行人はやるせなく息を吐いた。

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