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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 11ー1

[11] 「もちろん、俺に相談してくれてもいいんだけどね。その前に、皓太と話してみたらどうかな。同じ空間にいても、あんまり話せてないでしょ」 「え……」  そんな答えが返ってくるとは思っていなかったのか、行人が丸い瞳を瞠った。  あからさまに突き放されたと感じているのなら、かわいそうだとは思ったものの、行人のショックには気づかない顔で、もっともらしいことを言い足す。 「とくに、ほら、水城くんは、行人と皓太の同級生なんだから。皓太にとってはクラスメイトでもあるわけだし、俺よりも、ちゃんと人となりを知ってるんじゃないかな」 「それは、そうかもしれないです、けど……」  応じる行人の声が、どんどんと小さくなっていく。それはそうだという自覚もあるはあるのだろう。 「もし、そういった噂が本当なら、生徒会長として、寮生委員会と風紀に連絡して、気にかけるように共有しておくから」  生徒会室で一生徒の懸念事項を聞き終えたというふうに、成瀬はほほえんだ。 「だから、行人が個人的に心配だって思う気持ちは、皓太に聞いてもらったらいいんじゃないかな。きっとそのほうがすっきりすると思うよ」

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