910 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 11ー1
[11]
「もちろん、俺に相談してくれてもいいんだけどね。その前に、皓太と話してみたらどうかな。同じ空間にいても、あんまり話せてないでしょ」
「え……」
そんな答えが返ってくるとは思っていなかったのか、行人が丸い瞳を瞠った。
あからさまに突き放されたと感じているのなら、かわいそうだとは思ったものの、行人のショックには気づかない顔で、もっともらしいことを言い足す。
「とくに、ほら、水城くんは、行人と皓太の同級生なんだから。皓太にとってはクラスメイトでもあるわけだし、俺よりも、ちゃんと人となりを知ってるんじゃないかな」
「それは、そうかもしれないです、けど……」
応じる行人の声が、どんどんと小さくなっていく。それはそうだという自覚もあるはあるのだろう。
「もし、そういった噂が本当なら、生徒会長として、寮生委員会と風紀に連絡して、気にかけるように共有しておくから」
生徒会室で一生徒の懸念事項を聞き終えたというふうに、成瀬はほほえんだ。
「だから、行人が個人的に心配だって思う気持ちは、皓太に聞いてもらったらいいんじゃないかな。きっとそのほうがすっきりすると思うよ」
ともだちにシェアしよう!

