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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 11ー5

「基本的に、あいつ沸点高いんだよ。それが一番効果があるってなったら、ふつうに手も出すけど、それにしたって効率的なことしかしねぇんだよ。面倒くさいから」 「それはそうかもな」 「そうだろうが」  同意したというのに、今度は舌打ちがついてきた。さすがに行人にはしていないと思いたいが、ガラが悪いことこの上ない。 「それなのに、そっち方面でやり過ぎてるのが、憂さ晴らしにしか見えないって言ってんだよ。あいつと憂さ晴らしっていうのがいまいち合わない気はすんだけど、ずっと荒れてはいたから」  ――案外、そのとおりかもしれないな。  篠原の言う、憂さ晴らしというのは。言わなかったけれど、すんなりと得心することはできた。  たぶん、きっと、そのとおりだ。 「止める気ないっつうなら、いっそ茅野にでも頼めよ」 「……茅野?」 「わかるだろ、そうしたら」  胡乱な反応をものともせず言い切った篠原が「終わり、終わり」と乱雑に机を片づけて立ち上がった。 「面倒だから、もう帰る。おまえも適当に帰れよ」 「そうする」  着手はじめたところだった書類に意識を向けたまま、そう応じる。よくやるよなとは何度も言われたことだが、生徒会室でひとりで過ごす時間を成瀬はそれなり以上に気に入っていた。  あと少しだからと思っているせいもあるかもしれない。

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