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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 11ー6

 生徒会室の扉を開けたところで、篠原がふと思い出したように振り返った。 「あと、さっきの話」 「ん?」 「本当に面倒なんだよ。めちゃくちゃ面倒。だから、もう言わないからな」  考えろよ、と。その代わりとばかりに丸投げされて、苦笑ひとつで成瀬は見送った。ドアが閉まる。その扉からも早々に視線を外して、ぽつりと呟いた。 「そもそも、俺にどうのこうの言われたくらいで、考え変えるわけないだろ……」  それが事実だし、妙な期待をするな、とも何度も言っているはずなのに、押しつけ続けてくるのだから、やってられない。  昔から、あいつは、あいつで、好きにやっているだけなのに。 * 「そんなことしてって言った? 俺」  べつに、言わなくてもいいと言えば、いいことではあった。  誰になにを言われることも、裏でなにかをされることも、十分に慣れている。けれど、所詮はただのやっかみだ。  直接手を出されても黙っているほど上品にはできていなかったが、そうでなければ放っておこうと決めていた。  それなのに、わざわざ探し出してまで、そう言ってしまったのは、この一月ほどのもろもろが溜まっていたからなのだと思う。

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