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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 12ー1
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――まずは、高藤と話してみたら、か。
寮に戻る道すがら、行人はそっと息を吐いた。成瀬の言っていることは、決して間違ってはいない。むしろ、すごく正しかった。だからこそ頷くほかなかった。でも。
――なんか、すごい会長っぽかったな。いや、成瀬さんは会長だけど。
それを一線を引かれたと捉えてしまうのは、拡大解釈というやつなのだろうか。それとも、十分すぎるほどにかわいがってもらっていたことが、いつのまにか自分の中であたりまえになって、甘えになっていたのだろうか。
そうだとするのなら、より一層、彼の言うとおりだ。思い直すことで、行人は思考を前向きに切り替えた。
話し合うことは得意ではないけれど、それでも、いつまでも逃げているわけにもいかない。
生徒会の雑務といった新しく覚えるべきことに気を取られているうちに、下手をすると選挙が終わってしまいそうだ。
そうなると、最悪の想像ではあるけれど、篠原に言われたように、メンバー刷新を理由に、生徒会から手を引かされる未来もあるわけで。
――あれ、なんか、これ、成瀬さんは、「高藤が悩んでるから」みたいなこと言ってたけど、本当にそろそろやばいんじゃ……。
前向きに切り替えたはずだったのに、とんでもない事実に直面してしまった。自己嫌悪にまみれた溜息が、止める間もなく零れ落ちていく。
誰のせいでもなく、先送りにして棚上げしていた自分の落ち度でしかないのだが。目前に見えてきた寮を見上げて、でも、と行人は少し考えた。
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