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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 12ー12
「高藤も良い顔しなかったんじゃないかなって、思ったっていうか」
甘く考えていたつもりではないものの、あまりにも自分の目先のことを優先していた気はして、あいかわらずの自分の視野の狭さにもげんなりとはしたのだけれど。
本当に、そのあたりは考え始めたらどんどんと感情が地に落ちてしまうので、気がつくことができただけで良しとするしかない。
尻すぼみになりながらもどうにか言い切ると、高藤が苦笑いに近い笑みを浮かべた。ほっとしているのか、それともやはり納得が行っていないままなのか、読み取りづらい顔。
「なんか、本当に変わったね、榛名」
「……そうか?」
「うまくできてるとか、そういうことはちょっと置いとくし、俺が言うのもなんだとは思うけど。なんか、ちゃんと他人に興味持てるようになったんだなって」
高藤にとって、自分の今のわりと決死だった発言は、「自分の想い・考えを伝えることができるようになりました」以前に、「他人のことをようやく少しは思いやることができるようになりました」レベルだったらしいと悟って、行人はなんとも言えない気持ちになった。
「…………うん、そうかも」
「まぁ、結局、人間関係なんて、まず相手に興味持たないと始まらないしね。そういう意味で、ちゃんと話そうとしてくれたことはうれしかったんだけど」
わずかに言い淀むように笑ってから、でも、と高藤が続ける。
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