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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 12ー13

「正直なところ、俺も、そこまで考えてたわけじゃないから、ちょっと心苦しいというか。そんなこと言い出したら、俺だってすごい自分都合な理由だし、一緒にするなって話かもしれないけど、成瀬さんも、たぶんそうだよ」 「……」 「向原さんも、篠原さんもね。茅野さんもそうじゃないかな。まぁ、もちろん、その上で、自分の選択の責任は自分で取ろうと思ってると思うし、ここが、自分たちの思う良いものになればいいと思ってることも事実だとは思うけどね」  そんなもんだよ、と苦笑を返されて、反応に悩んでしまった。そのあいだに、だから、と言い聞かせるような調子の言葉が紡がれていく。 「榛名がそういうふうに考えてくれることは、すごい良いことだと思うし、本当にうれしいなとも思うんだけど。そういうところが、……怒るかもしれないけど、ちょっと心配っていうか」 「心配って、……生徒会を手伝うにあたって、っていう話だよな」 「そう。いちいち考えてたら、しんどいでしょ。判断する案件なんていくらでも湧いてくるのに。自分の判断に責任を持つことは大事だし、大切だとは思うけど、ひとつひとつ親身に向き合い続けてたら、榛名がきつくなるよ」  どこから目線の心配だよ、という反発がないとは言わない。  けれど、それでも、このあいだよりずっと素直に聞くことができるのは、誤魔化すことなくきちんと答えてくれていると感じているせいなのかもしれなかった。

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