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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 13ー6
「なぁ」
逡巡を脇に置いて、呼びかける。
「行ってないと思うけど。さすがにこの時間に、中等部のほうにまで顔出すなよ」
口を出すことではないが、それでも、やはりこれだけは言っておきたかったのだ。
本当は、自分のために動いている、なんて、思いたくはない。昔のころと同じ、そうなるほうがおもしろいからやっている、というスタンスのままだと思い込むほうが、ずっと楽だ。でも。
なにも言わない向原に代わって、成瀬は続けた。
「水城が中等部によく顔出してるって聞いたから」
「茅野?」
「従弟と最後に顔合わせたの、向こうが物心つく前じゃないかなって言ったら、なんとも言えない顔してたけど。そんなに遠いところにも住んでないだろうって。そういうとこまともだよな、あいつ」
困惑していた表情を思い出して、ふっと小さく笑う。
見えないところでの苦労はきっとあるのだろうが、それでも。まともな家で育った、まともな感性を持った人間に見えるところが、不思議と成瀬は好きだった。
「へぇ」
先ほどと同じ、なんの興味もなさそうな返事だった。それだけ、ともう一度笑って、話を終わらせる。
ほら、やっぱり、とも思う。
――だから、俺がなに言っても、聞かないんだって。
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