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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 13ー7
自分が納得しない限りは、こちらがなにをどう言おうとも。篠原がどう思っていようとも、そうだ。
口を閉ざすと、途端に医務室に沈黙が流れた。話すことはないということなのだろう。けれど、それは自分も同じだった。話せるようなことは、なにもない。
やり場に迷った視線を手元に落として、ひとつ溜息を呑み込む。
――真摯に向き合ったほうがいい、か。
引き上げるタイミングを逸しているうちに、数時間前に聞いた台詞がまた頭を過った。
本当に、あの人は面倒なことばかりを言ってくる。そんなことをしてどうにかなるくらいのことなら、とっくに――。
「成瀬」
「なに……」
呼びかけに、半ば反射で顔を上げた瞬間。伸びてきた指がこめかみに触れて、声が途切れた。消毒液の匂い。
その指先が輪郭を伝って、首筋で止まる。
「次、俺も殴っていい? 顔」
「……いいもなにも」
ぎこちない笑みを浮かべて、成瀬は否定した。触れたままの指から、自分の動揺が伝わっている気がして、落ち着かない。
「首絞められるかと思ったんだけど」
「なんでだよ」
ふっと笑って、あっさりと向原は指を離した。
「茅野には殴らせてやったんだろ」
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