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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 13ー12

 ――子どものうちに薬を取り過ぎるのはよくないっていう一般論はわかります。でも、俺には必要なんです。卒業したら、あなたの言う適切な量に戻します。  だから、と持て余している表情を隠さない主治医に向かって、はっきりと成瀬は言った。  ――オメガの子どもをアルファにした責任を、あと半年取ってくださいよ。アルファでいさせてください。確認してもいいですけど、母もきっと同じことを言いますよ。  嘘だった。母はもう、自分がアルファで在り続ける未来に見切りをつけている。承知していたから、良心の呵責に訴える言い方を選んだのだ。  小さいころから診ているから、大人として心配をしている。多少の責任は感じている。だから、カウンセリング代わりのこともする。  したり顔でそんなことを言うくらいなら、物理的にどうにかしてくれ。あと、たった半年だ。  ――また一ヶ月後、ちゃんとここに来るように。決しては無理はしないように。  効果の高い薬は、それだけ副作用もあるのだから。そう言って新しく処方された薬にも、過剰の期待はしていなかった。けれど。 「……多少はあったみたいだな、効果」  どのくらい続くかもわからないが、それでも。この距離でふたりでいて、話して、それでも、最低限、身体のほうに変調がないのであれば。  もう少しくらいだったら、どうにかやれるかもしれない。

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