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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 14ー2

「しょうがないじゃん、ほら、もう選挙の活動期間も始まってるんだし。そりゃ、生徒会は忙しいって」  行人に付き合って広げていた課題をそっと片づけつつ、取り成す調子で声をかけてくれたものの、その声もどこか持て余しているふうであった。  あれ、と内心で首をひねる。 「そうだけど、そうじゃないんだってば。……うわ、高藤じゃん。よかったねー、榛名。放課後まで待たなくても会いに来てくれるんじゃん」 「え」  四谷の視線を辿って後方の入り口を確認して、また四谷を見る。嫌味があまりに流暢すぎて、意味のある言葉が追いつかない。 「え、いや、その、え?」 「でも、俺の視界に入るところでいちゃくつのは勘弁してほしいなー。同じ部屋なんだから、寮の中だけでお願いしまーす」  怖いくらいにっこりと笑って立ち上がった四谷は、そのままさっさと前方の出入り口に向かって行ってしまった。  ぽかんと見送っていると、入れ違いで近づいてきた高藤が、「なに、あれ」と呟く。聞こえていたらしい。 「ごめんな、高藤」  答えを持っていない行人に変わって応じた岡が、席を立った。 「俺が様子見てくるし、気にしないで、ここ使って。榛名に用事だったんだよね?」 「いや、そうだけど……」 「本当ごめん。最近、ちょっと機嫌悪くてさ。なんなんだろうねって時雨も気にしてるんだけど。そろそろ直ってくんないかな」  つまるところ、四谷が親しくしている同級生たちも、みな理由はわかっていないということだ。

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