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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 14ー6

 目立っている生徒や、同じクラスになったことのある生徒、中等部の時に同じ寮だった生徒は、さすがに顔と名前は一致させているので、そのはずだ。  ――いや、べつに、水城が誰と喋っててもいいんだけど、なんか、珍しいな。  そんな目立たないようなタイプの生徒とふたりでつるんでいるのは。  いや、でも、それにしても誰だっけ。気になってじっと見下ろしていると、ぽんと肩を叩かれて、行人はびくっと肩を跳ねさせた。 「か、茅野さん……」  なんで、この人、もうちょっとでいいから、ふつうに現れてくれないんだろう。  バクバクと鳴る心臓を押さえつつ、呼びかける。 「なんで、おまえは毎回そう過剰に驚くんだ。さすがに俺も多少は申し訳なくなるんだが」 「いや、その……、ぜんぜん気づかなかったので」  言葉のとおり若干申し訳ない顔をされてしまって、すみません、と行人は謝った。  もうちょっとふつうに現れてほしいとは心底思っているが、それはそれである。 「あの、なにか?」 「なにというほどではないんだが、急ぎじゃなかったのか、それ。たまたまさっき会ったんだが、篠原が遅いと言っていたが」 「え、……あ」 「印刷、頼まれてたんだろう?」  その言葉に、そうでした、と慌てて頷く。窓の外の様子が気になって、すっかり頭から抜け落ちてしまっていた。

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