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パーフェクト・ワールド・エンド2-7

「任せて」と笑顔で請け負ってくれた四谷に任せて、皓太はそのまま廊下に出た。角を曲がる手前。一度だけ振り返る。四谷と、同じく櫻寮の寮生が榛名と一緒に居てくれているのを視認して、前を向く。あのクラスに、アルファはいない。  それがどれだけの救いになるのかは分からないが、皓太のクラスよりかは格段にマシだろう。  一人のオメガを囲うアルファたち。滑稽だとすら思っていたそれが、いつのまにか当たり前の日常になっている。そのことに危惧を覚えなかったわけではない。けれど、積極的に何かしようとも思っていなかった。  昨日までは。  篠原の言うように、自分がこの学園にとって有益なことができるとも思えない。それでも、榛名にとって有益なことくらいはしてやりたいと思っていた。  ――あれだけ嫌そうな顔をさせた代わりって、わけじゃないけど。  「ふり」だけで良い。実際は違って良い。そう言っても、榛名の拒絶は変わらなかった。  それでも、と自分で決めたことだ。けれど。  ――とは言え、一方的な嘘を平然とした顔で吐くのは、多少、精神的に来るものがある。  自嘲を呑み込んで、表情を取り繕う。それでも、榛名の方がずっと大変だろうことだけは想像に難くない。だから、これで良い。  いつもよりも賑やかな気配のする自分の教室のドアを、ガラリと引いた。 「あ、高藤」  おはよう、と声をかけてきた荻原が、予定通りの台詞を続ける。

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