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パーフェクト・ワールド・エンド2-8
「どうだった? 榛名ちゃん、送って来てあげたんでしょ?」
「四谷たちに任せてきたから大丈夫」
「そっか、そっか。なら安心だね。でも、それはそうと」
芝居がかった台詞に笑いそうになって、皓太は気を引き締めた。ひとまず榛名を送り届けて、ほっとしていたのかもしれない。
「今日はお祝いしなきゃだね、やっとつがいになれたんだし。まぁ、高藤と榛名ちゃんなら、会長と寮長が率先して宴会開きそうだけどね」
あんまりと言えばあんまりな猿芝居だったかもしれないが、それでも教室内の視線は十分に集まっていた。
「なんだよ、高藤。おまえ、あれだけ興味ないって言っておいて、結局自分が手ぇ出したのかよ」
茶化すクラスメイトの声に、「まぁね」と皓太は微笑んだ。この声の主もアルファだ。このクラスは、学年中のアルファが集まっていると言っても過言ではない。
「でも、順当な結果だろ。もともと、俺のところに居たんだし」
「おまえが春弥に興味を示さなかったのもそう言うことか」
勝手に納得したような顔で頷いて、彼は何も言わず座っていた水城に視線を向けた。
「俺は春弥の方がずっと良いけど」
「……恥ずかしいよ、そんな風に言われたら」
なるほど。クラスの中ではその男を一番近くに置くことに決めたらしい。みんなのハルちゃんから、立場を変えようとしているわけだ。
――こいつ、風紀だったっけ。
あぁ、ちがう。そう言うことか。風紀の後ろ盾をつくって、風紀のハルちゃんになるのか。
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