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パーフェクト・ワールド・エンド2-9
「べつに。そっちはそっちで仲良くしてたら良い。それだけの話だろ? いちいち張り合わなくても」
皓太の口から出た言葉が意外だったのか、教室の中に微かな緊張が走った。アルファの中でも、頭一つ飛びぬけているのに平和主義で、学内のことに無関心。何を言われても感情を荒げることも滅多とない。自分がそう同級生たちから評されていることを、皓太は知っている。そして、そのことを否定するつもりもなかった。それで良いと思っていた。
――あの人と同じ道を行くつもりなんて、なかったのにな。
なんだかまるで、篠原さんや茅野さんの描く通りに動いているみたいで嫌だな。この学園を、今まで通りにしておくための一手。溜息を押し込んで小さく微笑む。その顔が、どう見えるかも分かっている。
「一線を越えないうちは、俺は何もしない」
「一線?」
「俺が何を大事に、――一番に考えてるかなんて、分かるだろ? そこに手を出さないなら、俺は無暗に争う気なんてない」
面倒だろ、と肩を竦める。
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