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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 14ー8

 人徳の違いって、こういうところに出るのかもな、と内心で思っていると、まぁ、と茅野が調子を和らげる。 「最近は、寮の中で仲良くやってるみたいで、寮長としては安心してるんだけどな」 「あ、……すみません、うるさかったですか」  茅野の言うとおりで、最近は、夜に――もちろん消灯前の時間ではあるけれど、談話室で過ごすことが多かった。名目は選挙の準備であるものの、そこから脱線して雑談で盛り上がることもあった。  もしかして、一番上の階まで聞こえていたのだろうか。 「安心したと言っているのに、なんで謝るんだ。寮則の範囲で楽しく過ごしているなら、なによりだ。荻原から報告も受けているしな」 「あ、……そうなんですね」 「あいつは、そういうところが本当にきっちりしているから。安心して任せられる。おまえたちが楽しそうにしていると、成瀬も安心するみたいだしな」 「成瀬さんが?」  それ以上話を広げるつもりもなかったのか、ああ、と短く頷いたところで茅野は口を閉ざした。  会話が途切れて、行人もなんとなくそのまま前を向く。気の利いた会話を振るなど、自分には到底できない芸当である。  角を曲がると、もうすぐに印刷室だ。後輩として、せめて先にドアを開けて電気くらいはつけよう。そう思い至って、足を速める。  ドアを開け、電気のスイッチを押したところで、行人はびくと身体を強張らせた。

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