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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 14ー14
「そうか」
「はい」
最後のプリントに差し替えながら、しっかりと頷く。
「だから、選挙もできることをがんばります」
「そうか」
茅野の反応は、ひどくあっさりとしていた。そのことにほっとする反面、肩透かしを食らった気分で、そんな自分に苦笑する。
印刷の終わったものを、ついでだから、と言う茅野に甘えて、仕分けていた行人だったが、ふと思い立って、もうひとつを尋ねた。
「あの……」
「ん? なんだ」
「茅野さんは、……こんな言い方は失礼だと思うんですけど、アルファ優位の学園でも過ごしやすかったと思うんですけど」
「あぁ、それは、まぁ、そうかもな」
「なんで、変えようと思ったんですか」
聞いたことがなかったな、と思ったのだ。
行人にとって、茅野は、出逢ったころから、あたりまえにずっと「最上級生」で、アルファにもベータにも、……そして、オメガとわかったあとの自分にも、ずっと公平な人だったけれど。
でも、この人は、強いアルファだ。
「寮にいるのは、アルファだけじゃないだろう?」
「え……」
「おまえもそうだし、さっき話題に出した柏木もそうだが、四谷なんかもそうだろう。便宜上、寮生のことを俺のものとは言ったが、ある意味ではそのとおりでな。俺は、自分の気に入っているものが、楽しく生活してくれたら、それでいいんだ」
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