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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 15ー6

 櫻寮が、という話ではなく、学園全体が、ではあるのだが。  多少の申し訳なさは感じているとこぼすと、タイミングというものもあるからな、と淡々と茅野は応じた。 「そういう意味では、高藤がやる気になったことも良いタイミングだったと思うが。最低限、はじめのレールはこちらで引いてやれることも含めて」 「……まぁ、そうだよな」 「そのあとのことは、自分たちでどうとでもするだろうし、するべきだろう」  そうだよな、と同じ相槌を繰り返すと、茅野が笑った。 「なんだ、寂しいのか」 「……」 「あいかわらず甘やかすところは甘やかしているが、それでも、最近はようやく少し距離を取っているように見えていたんだが」 「しかたないだろ」  ほかにどうとも言えず、成瀬もそう苦笑を返した。  ずっと自分の手元に置いて守っておくことはできないのだ。そうであれば、適切なところで離すしかない。  半年後には、自分はここにはいないのだから。最近は、改めてそう言い聞かせている。  寂しい思いをさせているようで、行人には悪いことをしたと思っているけれど。  ――でも、まぁ、それも、ああやって同級生と交流してるうちに、そっちに重きが移っていくだろうし。 「そのくらいは、最後にしておいてやらないと。この半年、いろいろ中途半端だったしな」

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