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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 15ー10
――たしかに、くだらないプライドなのかもしれないな。
これも、何度となく言われてきたことだった。プライドを捨てた自分なんて、自分ではない。だから、なにをどう言われようとも、これは必要なものだ。
頑なにそう思っていたけれど、そういう問題ではなかったのかもしれない。
建設的な思考ができない、だとか。考えることから逃げていた、だとか。そういったこと以前に、目の前にいる相手をまるきり無視で、自分のことばかりに神経が向いている。
――それは、まぁ、向原も切れるわけだ。
あいつ、自分は平気でするくせに、無視されるの嫌いだからな。
本気に本気で返すこともせず、向き合うことを避け続けてきた。その結果として、冷めた目を向けられようとも、諦められようとも、しかたのないことなのだと思う。
そのこと自体は、今日に限ったことでなく、以前からわかっていたことだ。そうして、その調子のまま卒業してしまえば、本当にきっと会うこともなくなる。
そうなれば、自分は安心するのだろうか。
これで、もう、振り回されることもなくなる、と。自分らしく生きていくことができると、そう、安心することができるのだろうか。
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