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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー1

[16]  この学園に入ろうと決めた理由の半分以上は意地だった。  ここに入ってなにかを学びたかったというわけではない。ただ、ごく当然と受験して合格したアルファの兄のように、自分も同じようにできると証明してみたかったのだ。  行人の父はアルファで、母はオメガだ。ふたりはいわゆる「運命のつがい」というやつで、ごく当然と愛し合っていて。アルファである兄とオメガである行人を差別することなく、ごく当然と愛してくれていた。  けれど、「お兄ちゃんみたいにできなくてもいいのよ」と宥められるたびに、オメガだからできなくてもしかたがないのだと言われているみたいで。それがどうしようもなく嫌で、だから、背伸びをした受験をした。  ――でも、よかったな、背伸びして。  夜の寮の部屋で机に向かいながら、ふと行人はそんな昔のことを思い出していた。  もちろん、背伸びをしたせいで、受かってからも勉強についていくことは本当に大変だった。今も大変だ。  けれど、積み上げた学力は必ず自分のためになるはずだと行人は信じている。だから頑張っていきたいと思っているし、学生寮で過ごした時間も、自分にとって必要なものだったのだと思っている。  ――それは、まぁ、嫌なこともたくさんあったけど、でも、たぶん、ちょっとは大人になれたと思うし。

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