975 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー2
ひとりでも生きていける、なんて。尖ったことは、必要以上にはもう思わなくなった気がしている。
もちろん、自分ひとりで生きていくことのできるだけの力はつけたいと思っている。ただ、それがイコール誰も頼らないことではないのだということが、ようやく少し腑に落ちたのだ。
――でも、それって、完全に、俺個人のことだしなぁ。
いや、まぁ、交流が増えて、そう思うことができるようになったわけなのだから、高藤のおかげと言えばおかげなのかもしれないけれど。
白紙の用紙を前に唸る。真面目に悩めば悩むほどわからなくなってきて、行人は、はぁと深い溜息を吐いた。
そもそもの発端は、数日前。立会演説会で応援演説をすることになっている荻原に、せっかくだから、榛名ちゃんもちょっと考えてみない、と誘われたことだった。
もちろん、俺が責任持って文章はまとめるけど、榛名ちゃん、選挙活動すごく頑張ってたでしょ。プライベートの部分を一番見てるのも榛名ちゃんだと思うし、その上で、なんで高藤を推したいのか言語化してみてよ、と。そう言われたのだ。
参考にしたいし、と荻原は言っていたけれど、そのあとに言っていた、榛名ちゃんにとっても言語化するのはいいことだと思うよ、という部分が本音である気がしている。
ともだちにシェアしよう!

