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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー3

 ――本当、お節介だよな、荻原って。  わかっていても断ることができなかったのは、やってみてもいいかなという気持ちが少し湧いたからだった。  自分のことを誰かに伝えることは苦手だ。もっとそもそもで言うと、コミュニケーション自体がうまくない。  でも、苦手という旗を掲げて、避け続けるわけにはいかないのだと、最近ようやく思うことができたのだ。  ……だから、絶対、今日、なんとしてでも書かないと。  三年生たちと話をしてくるから、と言って、部屋を空けている今夜が、立会演説会までの時間を考えても、ラストチャンスだ。  そう言い聞かせて、行人はペンを握り直した。  はじめて会ったとき、あぁ、アルファだな、と思ったことを行人は覚えている。  優秀で、きっと自分にはなにも勝てるもののない、アルファの中でも、たぶん優れたアルファ。  それなのに、態度の悪い自分に気を悪くするでもなく、声をかけてくるのだ。性格まで良いときたら、勝てるものなど本当になにもない。  ここぞと劣等感を刺激してくるアルファ。だから、行人は高藤が嫌いだった。

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