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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー6
若干引いている行人の反応をさして気にすることもなく、高藤はどこかほほえましそうでさえあって、少しだけ不思議だった。
「本当、なんだかんだ言ったところで、向原さんは成瀬さんのことよく見てるっていうか」
あぁ、そっか、と遅れて得心したので、行人は過剰な反応はしなかった。へぇ、とだけ小さく相槌を打つ。
自分の知っているこの学園での先輩たちのことではなく、高藤が昔から知る彼らの話なのだろう。
まぁ、でも、と高藤が言う。
「だから、俺もちゃんとしようとは改めて思ったんだよね」
「……十分ちゃんとしてるとは思うけど」
「そう言ってくれるのはありがたいけど、なんだろ。俺の中で大きかった理由が、榛名とか、自分にとっていい学園にしたいだったから。そういう自己本位な考えだけじゃなくて、あの人たちが築いた平和な世界を、俺が俺の意志で残していきたいなって」
なんかそう思えたんだよね、と告げて寄こした顔が、やはり少しすっきりいているようだったので、なんとも言えず行人はほっとしたのだ。
茅野あたりに話せば、気負いすぎだだと言われてしまいそうな気もしたし、そういう側面もあるのだろうなぁとも思ったけれど、高藤にはそれで合っている気がしたからだ。
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