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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー8
猛然と否定した行人に、しげしげと改めて紙面に目を通しながら、「そうかなぁ」と荻原が言う。
「ちょっと、なんか、むず痒い感じはするけど、こう、熱烈に応援してる感じが伝わってきて、良い出来だと思うよ?」
「むず痒い」
「うん、まぁ」
「熱烈に応援してる」
「え、でも、してるでしょ?」
いや、それは、応援はしているけれど。なんだかどうにも居た堪れなくなって、行人は肩を落とした。
「こういうのって、夜中のテンションで書くものじゃないな……」
「あ、うん。それはそうだと思うよ。夜中に書いたラブレターとか、絶対地雷だもんね」
「ラブレター?」
「あ……、いや、うん。間違えた。応援演説だったね。ごめん」
本当に間違ったのだろうか。疑念を覚えたが、行人は問い質すことはしなかった。うん、と曖昧に相槌を打つ。
「とにかく、ありがとうね。榛名ちゃん。応援演説の参考にさせてもらうよ」
荻原もそれ以上のことは突っ込まないことにしたらしい。笑顔のまま用紙を折りたたむ。受け取ってもらえたことにほっとして、行人はもう一度、うん、と頷いた。
にこ、と人当たり良く応じた荻原が、そういえばさ、と再び口火を切った。
「榛名ちゃん、よっちゃん、どう?」
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