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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー10
「……でも、気になるよな」
「そうなんだよねぇ。まぁ、俺もまたうざがられない程度に聞いてみるよ。榛名ちゃんもいろいろ忙しいのに、気にしてくれてありがとう」
「いや、……うん」
にこりとほほえまれて、罪悪感が爆発しそうになってしまった。どうにか堪えて、こくこくと頷く。
ほんの少し、まともな人付き合いができるようになった気がしていたけれど、ぜんぜん駄目なままだったな、と自分自身に呆れながら。
「談話室戻ろっか。まだもう少し時間あるし」
その提案に頷いて、ふたりで食堂を出る。階段のあたりですでに同級生の声が聞こえていて、これはたしかに三年生のところまで聞こえているのかもしれないなぁ、と思う。
「でも、本当、なんだかんだであっというまだよね。もう来週には演説会でしょ。俺も人前で喋るのそこまで好きじゃないんだけどなぁ」
「フロア長の仕事もちゃんとしてるのに」
「できると好きは違うんだって。ほら、会長とか寮長はできるし好きなんだろうけど、高藤はできるけど、べつに好きじゃないでしょ。それと一緒」
なるほど、と小さく笑う。言われてみると、そういうものかもしれない。階段を上って、一年生の談話室に入る。在室していたのは、ここ最近のお馴染みのメンバーばかりで、やはり四谷の姿はなかった。
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