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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー12

「まぁ、ほら、榛名はクラスも一緒なんだからさ、日中にふつうに声かけてあげたら、それでいいんじゃない? むしろ、それはしてくれたらありがたいなぁって思ってるし」 「うん」  気まで使わせてしまった事実に、さらなる罪悪感を抱え込みながら、そうする、と行人は首肯した。  自分のような人間が、そんなにすぐに変わっているはずがなかったのだ。  ……ちょっと、調子に乗り過ぎてたかも、俺。  気をつけようと自制しつつ、声をかけたときと同様に、そっと朝比奈のもとを離れる。  おまけに、その姿が憐れだったのか、荻原にまで慰められてしまった。 「ごめんね、榛名ちゃん。俺が言ったから気にしてくれたんだよね」 「いや……」  ある意味では、そうではあるのだけれど。自分の中の罪悪感に負けたというもっと身勝手な理由でしかないというか。  こそりと話しかけられて、行人も小さく頭を振る。ただ、これも本当にいまさらではあるのだけれど、罪悪感とはべつの部分で、少し思ってしまったのだ。 「その、……いまさらなんだけどさ。四谷、こういう大人数でなんかするの、けっこう好きなイメージがあって」 「あぁ、まぁ、そうかもね。よっちゃんは仕切るのも上手だし。みささぎ祭のときもがんばってくれてたもんね」  だから、高藤も頼めるなら頼みたいって言ってたんだと思うよ、と荻原が言う。

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