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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 16ー15
「はい――って、なんだ。榛名か。なに?」
ドアを開けた四谷の顔は、控えめに表現しても機嫌が良くはなさそうだった。
おまけに、追い返される雰囲気まではないものの、中に招いてくれる気配もない。えっと、とまたしても尻込みしそうになりつつも、行人は単刀直入に切り出した。
回りくどい言い方をしたほうが、間違いなく苛々されると踏んだからである。
「その、今、談話室で作業してるんだけどさ、四谷も来ない?」
「なんで?」
「えっと、……その、四谷ぜんぜん顔出してないから」
「ぜんぜん顔出してないもなにも、自由参加でしょ。それに、そうじゃなくて、なんで急に言い出したのって聞いてるんだけど。荻原にでも頼まれた?」
「いや……」
半分はそういうわけだが、もう半分は完全に自分の勝手だ。言い淀んだ行人に、面倒くさそうに四谷が溜息を吐く。
中等部にいたころはよく見ていた、嫌味なそれ。
「わざわざ、どうも。でも、気にしてくれなくていいから。榛名は向こうでどうぞ和気あいあいと楽しんできて?」
身構えていたとおりの嫌味だった。でも、嫌味にしても、和気あいあいと思っているんじゃないか、と思ってしまった。
しつこくしないほうが絶対に良いとわかっていたのに、ぽろりと言葉がこぼれる。
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