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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー1
[17]
生徒会室の窓を開ける。
日中の風も随分と冷たくなったきたな、と思って、けれど、それもあたりまえだな、と納得した。
もう、来週には十一月になる。
――気づいたときには卒業してそうだな、本当に。
演説会が終わって、生徒会の引継ぎも終わってしまえば、時間の流れはさらに加速していきそうだ。ここに入ったときはまだ遠かったはずの未来は、もう目前に迫っている。
なんとはなしに、そのまま窓の外を眺めていた成瀬だったが、通り過ぎて行った一団に、あれ、と小さな声をもらした。
「どうかしたのか?」
「あぁ、いや」
近づいてきた篠原に問いかけられて、眼下を見下ろしたまま応じる。
「たぶん、行人のクラスの子たちだったんだけど。最近は、行人、よく寮の子と一緒にいたのにな、と思って」
集団の中にいても、いつもどこか浮いているような、そんな雰囲気を昔の行人はよく漂わせていた。
なんでそんなふうなのかという理由はわかるつもりだったし、過剰に口出しをするつもりはなかったのだが。それでも、最近は、皓太以外にも親しい相手ができたようで、少し安心していたのだ。
けれど、今、通り過ぎて行った行人は、昔の雰囲気に戻ってしまったみたいだった。
「あいかわらず、中途半端によく見てんな」
「ぜんぜん褒めてないだろ、それ」
むしろ、言葉の節々にチクチクとした棘を感じるくらいだ。苦笑いひとつで、篠原に視線を向ける。
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