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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー2

 皓太にも行人にも、直前に迫った演説会の準備を優先すればいいと伝えているので、この数日の生徒会室は、また静かな空間に戻っていた。  一年生がいると、それだけで、やはり、活気があったな、と思う。  自分たちの根底ににじんでいた不協和を誤魔化してくれていた、というほうが正しいのかもしれないが。けれど、それも必要以上に悪化させるつもりもない。 「大丈夫。さすがにここから先は口も手も出さないから」  言っただろ、と言えば、篠原の視線が窓の向こうに動いた。 「あの小さいの」 「小さいのって、四谷のこと?」 「そう、それ。中等部にいたころは、榛名と仲悪かったよな」 「悪かったというか、……まぁ、でも、そうかな。行人は行人で、あんまり誰とも関わりたくないっていうふうだったし、四谷は、皓太のことが好きだったらしいから」 「だったでいいのか、それ」 「俺に言われても。でも、まぁ、しかたないだろ。ぜんぶがぜんぶ思うようになんていくわけないんだし」  特に、人の心なんてものは。好きだの嫌いだのと言い出すと人間関係が拗れるだけなのだから面倒だとは思うが、それだけだ。 「それもあいかわらずだな。そのクッソ冷めた恋愛観」 「そこまで言う?」 「依怙贔屓もあいかわらずだし、本当にろくでもねぇな、おまえ。知ってたけど」 「そこまで言う?」  まぁ、べつに、事実だと自覚しているので、いいのだけれど。おざなりに繰り返した成瀬に、呆れた顔で篠原も軽く笑った。

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