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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー4
だから、自分でどうともできないのなら、さっさと諦めて茅野を頼ればいいと言ったのだ。
そうすれば、向原は納得するだろう、と。
既に一度頼っていて、すげなく断られたあとなのだと言えば、どんな反応をすることやら。
――でも、いまさらだな、それも。
納得するもしないも、自分がこのままなにもしなければ、この状態のまま卒業を迎えて、二度と関わることのない過去になる。
それで、きっと、それは、向原だけはなく、篠原もそうだ。
――行人も、そうか。
だから、適切な距離を示し直そうとしている。
「まぁ、さっき、おまえも言ってたけど。一年のことは一年に任せて、放っとけ」
図らずも考えていたことと似たようなことを言われて、そうだな、と成瀬は請け負った。
「そのほうがいいんだろうな」
「そら、そうだろ。まぁ、なんというか、榛名も不器用というか、……いや、あれは、今まで人間関係から逃げてきたツケか」
そう判じたくせに、言いすぎたとでも思ったのか、篠原が苦笑を浮かべた。それは、まぁ、人付き合いのうまい篠原からすれば、行人は不器用だろうし、未熟だっただろうと思う。
あいつ、もう少し他人に興味持ったほうがいいんじゃないか、とは、行人が生徒会の手伝いを始めてすぐのころに、気づかわしげに篠原が言っていたことだ。
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