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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー5

「でも、まぁ、なんだ。良い機会だと思わないとしょうがないだろ。逃げるのやめて関わるようになったからこそ、揉めてるわけで。だったら、そのうち、嫌でも成長していくだろ。今なら皓太がいるから、完全にひとりになるわけでもなし」  良い機会だろ、と篠原が繰り返す。反論をするつもりもなかったので、そうだな、と成瀬もまた同じ相槌を選んで繰り返した。  わかっているつもりだ。その人生を最後まで見てやることができないのなら、過剰に庇護下に置いて成長の種を奪ってやるべきではない。  そのはずだったのに、うまく一線を引いてやることができなかった。けれど、幸いなことに、あの子の近くには、篠原が言うように皓太がいる。  たぶん、この不条理な世界で、唯一と言っていいほどに、自分が信頼しているアルファ。 「大丈夫」  もう誰もいない窓の外を見やって、ひとりごちる調子で成瀬は呟いた。 「わかってるから」  オメガはひとりでは生きられない、なんてことはないと思う。そう行人に言ったとおりで、その考えは今も変わっていない。  ひとりで生きていくことは、可能だ。そうできるように努めて、生きてきたからだ。

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