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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー11

「今の水城みたいに?」  ふらふらしているという話のほうは、いろいろなところから聞いていた。ふっと笑った成瀬に、まぁ、そうだな、と茅野も小さく笑った。 「あれはあれで、さすがにわざとらしいと俺は思うんだが。真に受けて心配している者もいるからな。一概にわざとらしいとも言えないか」 「本気で心配してたみたいだったよ、行人も」 「人がいいな、あいつは。心配してやるようなことはされていないだろうに」 「そういう子なんだよ」  忖度なく、他人の心配をできる子。不器用ではあるけれど、根底にあるまっすぐさがかわいくて、きっと必要以上に構っていた。 「そうかもしれないな」  さらりとそう認めてから、茅野は話を戻した。 「四谷の話だが。おまえや水城に近いと言ったが、おまえたちのように、なにをされても問題ないというレベルまで割り切っているとは思わない」 「……」 「そういう意味で、変な行動はしないだろうと思っていた、ということだ。俺の主観だけどな」 「……そっか」 「榛名と仲良くやっているのも本心だと思っていたんだが」  思うところはあったかもしれないが、上手に吐き出しながら折り合いを付けているように見えていたんだけどな、と続いた台詞に、そっか、ともう一度成瀬は頷いた。

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