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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー13
「それも事実だが、おまえがなにをしていないというほど謙遜することもないだろう。逆に嫌味に響くぞ」
「嫌味って」
「おまえがどう思おうが、おまえが残した意志の結果がこれだろうという話だ」
なにかの意志を残したというほどのことは成していない。そう思ったものの、成瀬は反論はしなかった。
「よかったじゃないか。おまえがおまえ自身を信用していなくても、おまえのかわいい弟のことなら信用できるだろう」
反応に迷って、ふっと小さくほほえむ。皓太が自分と同じ路線を選んでくれたことをうれしく思っていたことは事実だ。
けれど、それは、茅野が思っているよりも、きっとずっと個人的な理由だ。
「実際にどうであろうが、認めまいが、結局は提示された結果がすべてだと俺は思うが」
言い聞かせるというほどの強さもない淡々としたそれに、そうかもしれないな、と頷いた。
目に見える結果がすべてということに関して言えば、そのとおりなのだろう。
「本当に、あともう半年もないんだ。ちょうどいい機会だろう。高藤に引き継いで会長を退いたら、何者でもない一生徒に戻ればいい」
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