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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー14
「……そうだな」
それもいいのかもしれない。ほっとしたような、落ち着かないないような、相反した気持ちのまま、もう一度頷く。
少しの間のあとで、まぁ、と茅野が笑った。どこか少しおかしそうに。
「向原は、おまえが思うほど、おまえに何者かであることを期待していたわけではないと思うけどな」
「なんでだよ」
「おまえ、自分が『そう』だから、あいつは自分に興味を持っていると思っているだろう」
なんでそこに話が飛んだのだと言いたかっただけなのに、よりいっそう嫌な方向に膨らまされてしまった。
「その前提が違うんじゃないか。これも、六年近く見てきた中での俺の主観だが」
返事の代わりに、小さく溜息を吐く。その程度で言葉を引っ込める相手ではないとわかっていても、この手の話は好きではないのだ。
「おまえの思うおまえという虚像と、あいつの見ているものが同じだとは限らないだろう」
案の定、変わらない調子の話が続いて、どうだろうな、とだけ成瀬は応えた。
そんなもの、自分にはわからないし、茅野にだってわからないだろう。だから、本人も主観だと言ったのだろうが。気のない態度を気にも留めず、茅野は話を終わらせた。
「とにかく、だ。あまり頭から決めつけて、視野を狭めてやるな」
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