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パーフェクト・ワールド・エンド3-1

[3]  大切だと思うものは、人それぞれだ。家族や友人、恋人だと答える人間もいるだろうし、地位や名誉だと答える人間も一定数以上いるだろう。あるいは、何にも興味を抱かない人間もいるはずだ。  向原も、自分は何にもそう言った感情を抱かない人間だと思っていた。あの日までは。 「朝から来てたぞ、会長」  本尾の声に、向原は喉の奥で小さく笑った。風紀委員会室だ。他に誰もいない。もう授業は始まっている時間だ。 「おまえがいなくなったら、次は茅野らしい」 「妥当な判断だろ、それは」  この男と二人きりで会うな。最後の忠告を守る気は一応のところあるらしい。 「顔が良いヤツはさすがだな。次から次へと代わりが出てくる」  笑って、一枚の紙を本尾が飛ばしてきた。風紀委員の名簿。 「それとも、やっぱり、あっちの噂か」 「本尾」  一番下の、欄。この時期に追加での人員の補充など、普通ならばない。その例外の名前は、この学園の騒乱の種の一つだ。 「それはもうどうでも良い」  水城、春弥。 「おまえがどう風紀を動かそうが、それもどうでも良い」  ただ、と。向原は淡々と続けた。

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