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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 0-4

「あぁ、……まぁ、うん」 「それで、中等部にいたころだったら絶対気にしなかったみたいなこと気にしてたりしてさ。まぁ、よっちゃんのことなんだけど」 「あぁ」  やっぱりな、という気分で皓太は頷いた。その反応にか、はぁ、と荻原が溜息をこぼす。 「高藤がいなかったときの話なんだけどね。談話室で作業してたときに、よっちゃんが参加してないないのがやっぱり気になるって榛名ちゃんが言い出して」 「へぇ、榛名が」 「そう、そう。あの榛名ちゃんが。まぁ、俺が前に『ちょっと気にしてあげて』って言ってたの、できてなかったことが気になり出したって感じではあったんだけどさ」  それは、まぁ、「気にしてあげて」は榛名にはハードルが高かっただろうなぁ、と皓太は思った。  馬鹿にしているわけでも、下に見ているわけでもないが、もともとがそう器用なタイプの人間ではないし、同時並行で複数のことをやることに向いている性格でもない。「やることいっぱいでちょっとハイ」だったところに、苦手な対人関係の頼まれごとは、厳しいものがあったことだろう。  ――それで、まぁ、できてなかったことにはたと気づいて、罪悪感が疼いたんだろうな。  なんとなく想像がついてしまった。そうして、計画性のない、――善意だけはあったのだろうが――衝動性でもって、四谷に声をかけて、逆鱗に触れたと。

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