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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 0-8
「それは本当に、俺もそう思うけど」
同意を示した荻原が、でも、と迷いながらという調子で呟く。角を曲がり、あともう少しで教室というところだった。
「ハルちゃんは、どうするつもりなんだろうね。というか、どうしたいんだろうね」
どうしたい、か。黙ったまま皓太は考えた。
「もちろん、俺にはわからない部分で大変なことはいくらでもあるとは思うけど。でも、ハルちゃんは頭も良いし、十分にいろんなものを持ってるように思うんだけどな」
「……」
「周りを巻き込んでギスギスなんてさせなくても。今の学園のままで、十分にいろんな人にちやほやされて、かわいがられて、楽しく過ごせただろうに」
なんだかなって思っちゃうよ、という荻原の声はやるせなさそうだった。
――どうなんだろうな。
それは考えても、結局わからなかったことだった。荻原の言うとおり、なにを変えなくても、この学園で、水城は十分に幸せな生活を送ることができていたのではないかと皓太も思う。
もちろん「幸せ」なんて、他人が判断するようなことではないとわかっている。でも。
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